本日お届けする2編のプロットは、もしかしたら本編に入っていたかもしれないという体で『捏造』された未公開シーンです。
また、今回のテキストはオレオワの開発現場で使用されているプロットと同じ書き方で記述されている為、非常に読みにくい内容となっていますが、これは現場の雰囲気を少しでも感じて頂く為の『勇気ある英断』であると理解してください。
決して仕上げるのが『面倒くさくて』手を抜いている訳ではないことを承知したうえで、脳内でキレイな文章に変換の上、寛大な心を持ってご覧いただければ幸いです。
※今回のプロットは未公開シーンである為、過度なネタバレなどは含まれてはいませんが、本編の第3章までをクリアした状態で読むことをお勧めします。
もっとも、この第六夜までお付き合いいただいた方の中に、そのような人はいないと信じていますが、念のための忠告です。
※第3章『零時の試験勉強(キャラ分岐)』イベントの後に挿入。
2017年7月28日(金)
零時の大学の試験の朝。
連日の試験勉強とタチアナのお世話に追われてヘロヘロ状態の零時。
今日も朝まで事務所で勉強をしていていつの間にか寝落ちしていた。
(といっても、明け方まではイルカに捕まっていたので、勉強が捗ったかは微妙。
イルカも零時の勉強の邪魔した訳ではなく、むしろ協力してくれようとしてたのだが、それが逆に邪魔だった……とは言えない零時)
会議スペースのテーブルに突っ伏したまま目が覚めると、既に10時過ぎ。
試験開始までもう時間がなかった。
※大学の試験の時間がよくわからないのでこの辺りは大卒の人に確認して調整する。
「え……! ええええ!? もうこんな時間! まずいって! どうして、スマホのアラームが鳴らないんだよ!? っていうか、バッテリー切れてるし!」
スマホを見るとテーブルに放り出されたままバッテリー切れになっていた。
※この後の流れ上、スマホが使えない方がいいので。
「あ、れーじくんおはよー。目が覚めた? 朝ごはんたべるー?」
開発室には既にアサノとユウノが揃っている(その声で零時は目覚めた)。
七罪も席にいるが、位置的に姿は見えない。
タチアナはラウンジでテレビ(幼児向け教育番組)を見ている時間。
イルカと尾張は時間的にいないのが普通。
「お、おはようございます! いえ、せっかくなんですけど、試験に遅れそうなので、今から駅までダッシュするところです!」
テーブルの上に散らばっている教科書やレポート用紙の束などを慌ててカバンに詰め込みながら答える零時。
「おお、それはピンチだねー。零式加速だっしゅの出番だよ!」
「ちょっとアンタ、急ぐのも分かるけど、ちゃんと朝ごはんくらい食べないと試験中に体がもたないでしょうが」
「あ、そーだねー。お腹がぐーぐーなりだしたら、テストどころじゃなくなりそうだよねー」
「でも、とてもじゃないですが食べてる時間なんてありませんから……」
「だったらあんた、せめてこのトーストを口にくわえて行きなさいよ」
「むごふっ!」
零時の口にアサノが無理やりトーストを突っ込む。
お気遣いはありがたいですが、僕を窒息させるつもりですか!
と思わずにはいられない零時。
「おお、なんかいかにも遅刻してきましたって感じがびしびしと伝わってきて、いい感じだよ、れーじくん! これならばっちりだよ!」
「ほ、ほうへふは?(そ、そうですか?)」
なにがバッチリかは分からないが、突っ込む余裕もない。
「ほひはふ、ひっへひはふ!(とにかく、行ってきます!)」
零時は慌てて開発室を飛び出そうとして、出口付近にいた七罪にぶつかってしまう。
「きゃ! ちょっと、トーストを咥えたままぶつかってくるとか、あなたいつの時代のラノベ男なの?」
「ふ、ふみまへん!(す、すみません!)」
「ところでバイトさん。あなた今日は試験の本番だったわよね……だから、その……実は」
何か言いたそうにしているが、突然、挙動不審になりだす七罪(いつもより乙女ちっくに表現)。
だが、遅刻しそうで慌てている零時はそれどころではなかった。
多分、ぶつかってしまった事の文句でも言いたいのだろうと思い、
「もんふは、あほへひひまふ(文句は、あとで聞きます)」
といって、七罪の脇をすり抜け開発室を飛び出していく。
「ちょ、ちょっと待ちなさい! 実はあなたに渡すものが……」
慌てた調子の七罪の声が聞こえてくるが、その時には階段を駆け下り事務所の外に飛び出していた。
そのまま走りだす零時。
事務所の2階の窓からユウノが「あ、おーい、れーじくん、これ、これ! わすれものー」と叫んでいるが、慌てている零時は気づかない(このユウノのセリフは言葉にしない方がいいかも)。
(時間経過演出)
大学に到着(流石にもうトーストは咥えていない)。
なんとかギリギリ間に合って、試験会場となる教室の机に突っ伏し、息を切らしている零時。
※教室内の背景が無いじゃん! まぁ、頑張れば作れなくもないかな…?
最初の試験は自分がまとめたレポートを資料として参照していいという、普段勉強をしていない零時でもなんとかなりそうな内容だった。
※こういう試験があるのか分からないけど、なんか大学ってありそう。
とはいっても、そのレポートをまとめていたのは昨日の夜なので偉そうなことは言えないが、今回の試験の中では確実に単位をゲットできそうな試験だった。
カバンからレポートの束を取り出して机に広げる零時。
ずっしりと重い紙の束に「あれ? 僕、こんなに大量にレポートまとめたっけ?」と疑問を感じる。
まあ、たくさんまとめてあるのなら、それだけ助かるから良いけど……
と思いながら表紙を見ると、そこにに書いてあったのは、
『異世界ノヴァ・アーク 世界観概要 第27稿』という実に不穏な文字。
「!?」
え? っとなる零時。
慌ててページをめくるが、そこにあったのは紙が真っ黒になる程の文字量で、難解な単語と意味不明な設定が記されたイルカの文章だった。
「え、えええええええええ!!??」
教室にいることも忘れて大絶叫してしまう零時。
その声にざわつく学生たちだが、零時には気にならない。
それよりも、レポートはどこだ!?
慌てて鞄をひっくり返すも、レポート用紙の束は他にはない。
あるのはこの無駄に分厚い『イルカ文書』だけだった。
「おい、嘘だろ……マジですか、イルカさん、なんてことしてくれたんだよ!」
実際には自分が間違って持ってきてしまったのが悪いことは分かっているのだが、それでも思わず文句を言いたくなる零時。
しかしこれ、どうすりゃ良いんだ?
これだけ分厚いんだし、なにか今日の試験に役に立つことが書いてないだろうか?
藁にもすがる思いでページを捲るが、
『ノヴァ・アークは13次元回廊を抜けた先にある、非マテリアル的空間(アストラル・フレーム)に存在する多重階層世界である。惑星直列の際に出現する《天界門(ゲート・オブ・フォース)》に対して、照射角44.44度で超高圧レーザー(444テラパスカル)を照射することで起こる爆縮と時空間衝撃波が触媒となり、彼の地へと到達する門が起動する。だが、その門を開くためには13の鍵《ファンタズマ・フラグ》が必要となり……』
はい! なんの役にも立ちません! っていうか意味も分かりません!
そもそもこれを読んでたら、せっかく覚えたことまで忘れてしまいますから!
慌ててイルカ文書を裏返す零時。
「……な、なんてこった」
この科目はレポートが頼りだったから、ほとんど何も覚えてない。
むしろ、今覚えた『天界門』とか『ファンタズマ・フラグ』とか、どうでもいい単語だけが頭の中をぐるぐると回りだして、放心状態の零時。
「もう、終わった……」呆然と呟く零時。と同時に、
「では、始めてください」無情にも試験が始まってしまう。