男達の伝説わ始っている。
某月某日。
ジャッジメント7の歴史を語る上で欠かすことのできない男たちによる夢の対談が実現した。
皆さんもご存知『ジャッジメン』と呼ばれる3人の男。
ジャッジメント7代表、尾張世界。
ジャッジメント7副代表(自称)、イルカ2号。
北連理化学研究所副所長、ユーリー・ダヴィードヴィチ・シャラポフ博士。
諸事情により、ユーリー氏はリモートによる参加という形になってしまったが、久しぶりに揃ったジャッジメン3人による熱い言霊による殴り合いは、千日祭のオープニングを飾るに相応しい内容となるであろう。
君は今、歴史の証人となる……

残念ながらユーリー博士はビデオチャットでの参加となってしまったが、北連理化学研究所の副所長という忙しい立場を考えれば致し方ないといえよう。
男達の再会わ終っていた。
……ということで、こうして俺達ジャッジメンが再び集結した訳だが。おーい、ユーリー。聞こえているのかぁい?
ああ、聞こえているよ。まったく、突然このワタシを呼び出したりして、いったい何事なのかね?
良いじゃないか、どうせ俺達と一緒でお前さんも暇だろう?
オワリ達と一緒にされるのはいささか心外である、と言わせてもらおう。
どうした、ユーリーよ。随分とテンションが低いではないか? 我らジャッジメンの久方ぶりの邂逅であるぞ。昔のようにハァァァァイテェェェンショォォォォォン、マァァァァッッックス!!! で行こうではないか?
いや。元々ハイテンションだったのは、お前だけではないか、ウミノ?
キショエェェェ! 我輩の名はウミノではないと何度言えば分かるのだ!
ああ、すまない。確か、くらげ3号だったか。
イルカ2号である! くらげ3号は我が愚妹のソウルネェェム! というか何故、ユーリーがくらげのことを知っておるのだ?
いや、ちょっとネットでな……
な、なんと!? ネット怖すぎではないか!!
はっはっは。まぁ、ユーリーは昔から根暗な所があったからねぇ。
そういうオワリは、相も変わらずヘンタイの様でなによりだよ。
おいおい。俺をあの頃のままの俺だと思ったら大間違いだよ。
なるほど。更なる進化を遂げたという訳か? 流石はワールドワイドなヘンタイ。その向上心は実に見上げたものだな。
まぁ、何はともかく。今日は俺達の同窓会みたいなものだからさ、久しぶりに語り合おうじゃないか。
左様! まさにジャッジメントなトークバトルで、盛り上がろうではないか!
それは構わないのだが……そもそも、ワタシ達の座談会など、いったい誰が望んでいるというのだね?
クックック。誰が望んでいるかだと? それは無論、天が望んでいるに決まっておるではないか! 我らジャッジメンの存在は時代によって運命付けられたもの。そしてこの再会は、まさに大いなる歴史の意思であるからな……
なるほど。歴史の意思であれば仕方あるまい。
男達の青春わ終っていた。
しかしなんだね。俺達が3人集まったところで、やっぱり華がないのは確かだねぇ。もうちょっと色気が必要だとは思わないかい?
フム。それは、我々が応慶大学にいた時からの永遠のテーマであるな。
ジャッジメンを名乗る以上、女子供の介入する余地などない! 断じてないのである!
それも当時のウミノ……いや、イルカの口癖であったな。
いかにもである!
ほら、でもあの頃、大学のミス応慶ちゃんを、ジャッジメンのマネージャーに勧誘しようとしたじゃないか?
『常夏の聖女降臨計画』のことであるな? あの計画が成就しておればバラ色の大学生活が約束されていたというのに、実に口惜しい……もう少しで勧誘成功だったというのに!
勧誘? ワタシの記憶が正しければアレは拉致監禁未遂だったハズだが……
おいおい、人聞きの悪いことを言わないでくれよ。本人の合意を取った上でのれっきとしたプレイだったよ、アレはさ。
だとすれば、こっちが3人だと伝えてなかったのが失策だったな。
そもそも、ミス応慶は世界以外の我々を人間として認識しておらんかったようだからな。
ウム。オワリが彼女をワタシの研究室に連れてきたところを、サプライズパーティの調子で歓迎したというのにお気に召さなかったらしい。
まぁ、いきなり暗がりから海パン一丁のイルカとユーリーが飛び出してくるとは思っていなかったからねぇ、俺もさ。
あの研究室はエアコンがご機嫌斜めであったからな。夏ともなれば水着にならねばやってられなかったのだ、仕方あるまい。
ああ、アレはひどく暑い夏のことだったね。だが、それで言えば彼女も水着だったではないか?
ああ。俺の新作プログラムの被験者になってくれるように頼んだからね。
流石は世界。自然と女子に水着を着せるそのテクニック、感服である。
アレは確か、画像認識を使って、世界中のショッピングサイトから最適でジャストフィットな下着を購入するというプログラムだったか?
ああ、表向きはねぇ。
ホホウ……表向きということは、当然、裏の目的があると思って良いのだな?
もちろんさ。ただねぇ、流石にちょっと公然とは言えない内容だからさぁ。まぁ、若気の至りとでも言っておくよ。
なるほど。お前が言葉を濁すということは、かなりヘンタイ性に富んだ内容だったと思って間違いないようだな。
まぁ、トリプルH級のプログラムだからねぇ。
トリプルH級ということは、変態性、偏執性、破廉恥性においてオールマックスのスペシャルプログラムではないか! 流石は我が盟友。恐ろしい男である……
フム。お前が捕まらなかったのが、ワタシにとっては永遠の謎だよ。
次項『男達の回想わ終っていた。』へ続く